設立にあたって

子宮頸がんの原因はそのほとんどがHPV感染であることが解明されていることに加え、検診で前がん病変の段階で発見できることから、子宮頸がんは、世界では予防すべき疾患と理解されています。

しかしながら、日本では、子宮頸がん検診の受診率が20%を下回っている現状、また子宮頸がん検診では、主に細胞診のみが使われており、前がん病変の発見率は70~80%と十分ではないことや日本で子宮頸がん予防ワクチンがまだ承認されていないことなどから、先進国といえない状況にあります。

よって、より精度の高く費用対効果にすぐれた子宮頸がん検診(細胞診+HPV検査)を確立し、子宮頸がん検診の受診率50%以上をめざすとともに、HPVワクチンの早期承認と公費負担の実現を図ることで、子宮頸がんの予防、征圧をめざすために、「子宮頸がん征圧をめざす専門家会議(通称:子宮頸がん予防ゼロプロジェクト)」を設立いたします。

「子宮頸がん征圧をめざす専門家会議(子宮頸がん予防ゼロプロジェクト)」は、専門の枠を超えて、多くの医師、専門家、団体、企業が力を合わせて、多面的な視点から、子宮頸がんについて、社会・行政に向けた提言を行ない、私たちが果たすことができる役割を考えながら活動してまいります。

この活動の意義をご理解いただき、ご支援を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

 

 

2008年11月20日
議長 野田 起一郎(近畿大学名誉学長)

※肩書は設立当時

 

 

子宮頸がん征圧をめざす専門家会議実行委員より、設立にあたってのメッセージ

実行委員 / 神谷 齊

国立病院機構三重病院名誉院長、三重県予防接種センター長

我国においても臨床治験データにもとづき、HPVワクチンの製造が承認され、正しい認識のもとに1日も早く導入されることを期待します。今後使用開始年齢、方法等につき積極的な議論が行われ、国民の理解を得て小児科医・産婦人科医の連携のもとに使用出来るようになり子宮頸がんの征圧が出来ることを希望いたします。

 

実行委員 / 小西 郁生

都大学婦人科学産科学教授、日本産科婦人科学会理事長

思い起こしますと、私が1976年に医学部を卒業して産婦人科医となり、その7年後の1983年に本年のノーベル賞受賞者であるzur Hausen 博士が子宮頸がんからヒトパピローマウイルス(HPV)を発見したのであります。その後、私自身もHPVのことを研究する機会が与えられましたが、まさか自分が生きているうちに、このHPV感染を予防できるワクチンが開発されるとは夢にも思いませんでした。今、日々の診療で子宮頸がんの患者さんに出会い、一生懸命その治療に携わっていますが、ついに子宮頸がんを征圧できる展望が開けてきたことはとても素晴らしいことです。この時代に生きている一人として、またこの専門家会議の一員として、わが国の子宮頸がんの発生ができるだけ早くゼロに近づくよう、全力を尽くしたいと思います。

 

実行委員 / 今村 定臣

日本医師会常任理事、日本産婦人科医会顧問

「子宮頸がん征圧をめざす専門家会議(子宮頸がん予防ゼロプロジェクト)」が設立され、若年層において増加傾向が見られるという子宮頸がんの征圧に向けて斯界の権威を中心に取り組まれることに、日本医師会と致しましても賛同し、ご協力・ご支援を致します。

日本医師会におきましてはHPVワクチンの国内での承認を視野に、会内の母子保健検討委員会でもこの問題を会長諮問としてとり上げ、更に来年2月22日に予定されている母子保健講習会におけるシンポジウムで議論することになっております。本専門家会議と緊密な連携をとりながら、実行委員の一人として事業の推進に取り組んで参ります。