子宮頸がんは、その主要な原因はヒトパピローマウイルス(HPV)感染であり、その感染が持続することで前がん病変を生じ、その後、浸潤がん(扁平上皮がん)に至る進行のプロセスが明らかとなっています。
発がん性HPVと子宮頸がんとの相関性は強く、発がん性HPV型の持続感染が浸潤がんのほとんどの症例に関与することが確認されています。中でもHPV16型及びHPV18型 は、他の発がん性HPVと比べて持続感染及びがんに進行するリスクが高いことが示されており、両型を合わせると世界の浸潤がんの70%以上、腺がんの85%に関与することが報告されています。
がんは前がん病変を経て徐々に進行するため、子宮頸がん予防ワクチンは、World Health Organization(WHO)が推奨する予防効果の指標「前がん病変(CINグレード2以上)の予防」を用いて大規模な臨床試験が行われ、ほぼ100%の予防効果が科学的に検証されています。
米国の検診プログラムにおいて前がん病変(CINグレード2以上)の外科治療が子宮頸がんを減少させることが明らかとなったことからも、子宮頸がん予防ワクチンの臨床試験で用いられた「前がん病変(CINグレード2以上)の予防効果」の指標は適切な評価項目であることも裏付けられています。
子宮頸がん予防ワクチンの予防効果は、約9年まで持続することが確認されています。一方、これらのデータから統計モデルを使って推計した研究では、少なくとも20年以上にわたり効果が期待されると推測されています。