説明は、非常に大事なポイントだと思います。ふつうでない痛みを患者さんが訴えたとき、両親がどういうふうに受け止めるのが良いかということに関しては、なかなかコンセンサスあるいは正しい知識の普及がないのです。私たち痛みの専門医が実際に本当に困っているのはどういうことかというと、「CRPSかもしれない」と、よかれと思って開業医師さんがおっしゃった言葉、それを聞いたことがないため、患者さんが家に帰ってCRPSをインターネットで調べると「原因不明の難病で、どんどん体に広がっていって寝たきりになる人もいる」といった記事を見つけ非常に不安を呼び、ますます辛い思いをされてしまいます。そうではなく、「こういう意味で開業医さんはおっしゃったんですよ、あなたの場合はギプスを固定していて、少し他の方に比べて腫れているだけで、ぜんぜん問題なく治りますよ」と申し上げるだけで非常に楽になっていい経過をたどることも多くあります。その情報というのは非常に大事です。痛みの専門医の間でも、「どういうふうに説明するかということが非常に大事だ」ということを、ようやく最近になって皆さんが言うようになってきているのが現状です。
現在のところCRPSの早期発見や予防策についての具体案を提示することはできません。体調不良、過去に原因不明の痛みやしびれなどの既往がある方は慎重に判断されることを勧めます。