子宮頸がん征圧の実現のためには、精度の高い子宮頸がん検診の検診受診率の向上と、子宮頸がん予防ワクチンの接種率の向上が必須である。「子宮頸がん予防法」は、子宮頸がん予防を国が主体となって実施することとする法律であり、日本の女性たちのいのちと幸せを守るものとして、その成立が期待されている。国会議員、メディアの方々に、子宮頸がん予防法案の趣旨、内容をより深く理解していただき、我が国の子宮頸がん予防の推進に役立てていただくことを目的に緊急議員セミナーを開催、約70名が参加した。
冒頭、当会議議長の野田起一郎が、50年以上にわたる日本の子宮頸がん予防の歴史を踏まえ今回のセミナー開催の意義についてお話しした。実行委員の吉川裕之は、子宮頸がんによる死亡・子宮摘出がもたらす国民への影響、ワクチンによる子宮頸がん予防の意義について解説。実行委員の鈴木光明は、検診クーポンによって若い世代の受診率がアップした自治体調査結果や、日本産婦人科医会が推奨する進化した子宮頸がん検診(細胞診とHPV検査の併用検診)の最新情報、検診の徹底による子宮頸がん予防効果などについて説明した。法案提出者である公明党参議院議員の松あきらさんは、法案の立案・提出に至った背景と理由、この法律が達成するであろう日本女性の健康と未来について熱く語った。いち早く併用検診を島根県に導入した当会議委員の岩成 治は、その取り組みと成果について紹介。長年医療と教育に関わってきた委員の衛藤 隆は、ワクチンで防げる病気のひとつである子宮頸がんから子どもを守る必要性についてわかりやすく説明した。最後に実行委員長今野 良は、世界の子宮頸がん予防への取り組みと日本のワクチン接種についての自治体調査結果などからみた現状から、包括的な子宮頸がん予防法の必要性を述べた。
講演を受けて、「予防法の必要性がよくわかった」「予防接種法の抜本改定も議論されているが、それには時間がかかる。先行事例としてこの法案を早く成立させるため、党を超えて協力することが大切」「島根県で実施した併用検診を各自治体で取り入れるにはどうしたらいいのか」など、活発な意見交換が行われた。司会の今野 良は「ワクチンは将来への投資であり、検診は今日から役に立つこと。この2つの重要性を広く国民に知ってもらうため、草の根で活動する啓発団体、専門家、政治家などさまざまな立場の人がうまく協調していけたらと思う」と締めくくった。
野田 起一郎(当会議議長・近畿大学前学長・日本の子宮頸がん検診創始者)
吉川 裕之(当会議実行委員・日本産科婦人科学会常務理事・筑波大学産婦人科教授)
鈴木 光明(当会議実行委員・日本産婦人科医会常務理事・自治医科大学産婦人科教授)
松 あきら(公明党参議院議員・子宮頸がん予防法案提出者)
岩成 治(当会議委員・日本産婦人科医会がん対策委員長・島根県立中央病院母性小児診療部長)
衛藤 隆(当会議委員・愛育研究所副所長、小児保健協会前会長)
今野 良(当会議実行委員長・自治医科大学さいたま医療センター産婦人科教授)