2012年5月14日(月)午前、小宮山洋子厚生労働大臣へ、公益社団法人日本産婦人科医会、子宮頸がん征圧をめざす専門家会議、公益財団法人日本対がん協会の3団体からの要望書提出と面談が、急遽実現した。
日本産婦人科医会を代表して常務理事の鈴木光明(当会議実行委員)より、細胞診とHPV検査の併用検診は世界でもエビデンスが確立できていること、検診に関わる関係各所・自治体に対しての周知と近い将来の公費助成の検討を要望した。
当会議実行委員長 今野 良からは、公衆衛生的に効率の高い併用検診の実施と、子宮頸がん検診のエンドポイントは死亡率ではなく「がんにならないこと」であり、この重要性を広く伝えてほしいことを要望した。
日本対がん協会からは、併用検診の新しいエビデンスによる見直しを要望した。
その後の懇談では、併用検診は見落としがなく医療経済的にもメリットがあること、子宮頸がん検診はこれまでと違うエンドポイントを持ち新しいところに踏み出した検診として考えてほしいことなどを伝え、小宮山大臣からは、「5月28日から始まる『がん検診検討会』でもなるべく早く取り組みが進むように努力する」「予防接種の遅れに関しても何とか前に進めるようにやっていきたい」との回答をいただいた。
この面談を受けて、近く担当部局との話し合いを持つこととなった。
「財政的にも予防を進めることは大事な柱であり、医療イノベーションを進めていきたい」という大臣のビジョンにも合致する、精度の高い検診とHPVワクチン接種の推進に、なおいっそうの力を入れていきたい。
厚生労働省健康局がん対策・健康増進課 木村博承課長宛に、当会議議長の野田起一郎、公益社団法人日本産婦人科医会常務理事 鈴木光明(当会議実行委員)が、それぞれの団体を代表し、子宮頸がん検診についての要望書を提出した。検診のエンドポイントを死亡率としないこと、ガイドラインの改訂、併用検診への公費助成、検診の重要性についての啓発など、要望事項について説明を行った。
当会議実行委員長 今野 良から、検診台帳作成(レジストリー)により、全検診対象者に対する受診確認・再勧奨の実現、及びコミュニケーション(広報、コール・リコール)までを、国の仕事としてやってほしいこと、検診受診率の低い日本では、精度の高いHPV検査との併用検診が必要であることを要望した。
鈴木光明からは、産婦人科医会のリコメンデーションにある併用検診の実現、ベセスダシステムへの統一の必要性について説明を行った。
その他、子宮頸がんと子宮体がんは異なるがんであり、区別して表記して欲しいことや、「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針について(平成20年3月31日)」の文中にある「活発な性活動」や「性感染症の病原体の一種」などの不適切な表記については、今後改めてほしいことを要望した。
最後に野田起一郎より、がん予防対策を検討する委員の中に婦人科腫瘍の専門家を入れてほしいことを要望した。
木村博承課長からは、「上記指針については、平成20年に書かれたものであるが、今後気を付けていく」、また「委員の中に婦人科腫瘍の専門家を入れることを検討していく」など、有意義な勉強の機会となったとの前向きな返答をいただいた。