「検診」と「ワクチン」のさらなる普及をめざす『第1回子宮頸がん予防活動奨励賞』は、14件の応募の中から、子宮頸がん予防(検診とワクチン)の目覚ましい成果がある、活動が実践的で啓発のモデルになりうる、多角的で他領域との連携がおこなわれている、一般の人々との良好なコミュニケーション・アプローチをとっている、正しい医学的知識に基づいた活動である、などを選考基準とし、以下の団体の表彰を決定しました。
ぜひ詳しい資料をごらんいただき、子宮頸がん予防活動の参考にしてください。
国に先駆けワクチン公費助成を開始し高い接種率を実現している、併用検診を導入し受診率が向上している、地域のさまざまな力を連携させてきめ細かい・ユニークな取り組みをおこなっている、などの点から、7件を決定した。
団体名(五十音順) | 主な活動と評価ポイント |
明石市役所(兵庫県) | ■市、教育関係、医療機関、市民の連携による啓発活動 明石市の検診受診率が低く死亡率が高いことを問題視。検診の動機付けも含めてワクチンを導入、平成22年9月より全額補助。医療機関と連携し、市民啓発の方法について意見交換をおこない、予防フォーラムなどを実施した。また、市民(健康ソムリエ)と協働で、子育て世代の女性を対象にエプロンシアターや寸劇等を通じて検診啓発を行った。 |
出雲市(島根県) | ■受診率を確実に向上させたHPV検査併用検診への取り組み 島根県モデル事業として全国に先駆け平成19年度よりHPV検査併用子宮頸がん検診を導入。受診率の確実な向上と市民の身体的・経済的負担の軽減に寄与している。また、併用検診の有効性・効率性を全国に発信している。 |
日本細胞診断学推進協会細胞検査士会 島根支部 *合同受賞 |
■職能を生かす新ボランティア“プロボノ”への挑戦 島根県では、細胞検査士の団体支部が、県や市の行政がんサロンの会、看護協会、乳がん患者会、大学、大学生、企業等と協働し多様な啓発活動を展開。こうした活動が医療者の社会貢献意識を変革、啓発活動に医師の参加も増えた。 |
埼玉県志木市 | ■事業展開に即した的確な情報提供で高い接種率を実現 平成22年1月、県で初めてワクチンに全額公費助成を決定。関係者(市職員、学校管理職、養護教諭など)を対象に専門医の講演や事業説明会、一般市民向け講座、全小中学校にポスター掲示、対象者にはワクチンカードを個別送付、未接種者に数回にわたる勧奨を実施。全国から議員が視察に訪れた。接種者が20歳になったら検診受診勧奨を行う予定。 |
新潟県魚沼市 | ■“魚沼の一石 国も動かす”女性リーダーのパワー 平成21年12月の市議会で、市長(県内初の女性市長)がワクチン接種の全額公費助成に取り組む意向を表明。地元医師会と行政、学校現場が緊密に連携し、保護者への啓発に努めた。また、市民講座により口コミで広まり、個別接種にもかかわらず6ヶ月で90%以上を達成。 魚沼市から始まった動きはわずか1年足らずで国の制度そのものを変えるに至る。 |
宮崎県西米良村 | ■医療機関の少なさを補う小規模自治体の努力 熊本県境に位置する村。村に1校ある中学校の協力のもと、学校で集団接種を実施し、接種率は100%。村内に産婦人科がないため、検診車による集団検診を実施。無料クーポン券対象者には、かかりたい村外の医療機関(熊本県や宮崎市など)を事前に聞き、その都度委託契約を結ぶ。小規模自治体におけるきめ細かな努力の好例であり、同様の取り組みが広がることを期待したい。 |
大田原市(栃木県) <審査員特別賞も受賞> |
■集団接種で高い接種率。外国人世帯へもきめ細かく対応 小学校での集団接種を平成22年5月より開始。高い接種率となり、保護者の負担も軽減。(*11月に国による接種が始まり小学6年生への集団接種には保護者同伴が義務づけられたため、22年度限りで終了。)中学女子は平成22年6月より医療機関で個別接種開始。対象世帯に資料を送付する。外国人生徒の世帯には、ポルトガル語や中国語等の資料を作成し送付している。 |
北海道斜里町 <審査員特別賞も受賞> |
■「がん予防」と「少子化対策」を重視、健康教育をセットに事業展開 医療、教育、保健部門が連携し、健康教育をセットとしたワクチン接種事業に平成22年4月から注力。健康教育では、身体の仕組みと子宮頸がん、ワクチンや検診の正しい知識、接種の予約方法などを説明。新生児人形やパネルなどを用いて興味をひく工夫をしている。中1~中3に初回接種後の調査を実施。斜里町の活動は北海道内のテレビで紹介されたり、日本ワクチン学会で報告された。 |
子宮頸がん啓発に取り組んでいる啓発団体を応援するため「グッドパートナーシップ賞」を設けた。
団体名 | 主な活動と評価ポイント |
Love49プロジェクト *合同受賞 |
■細胞検査士のネットワークを活かす先端的な活動 4月9日を「子宮頸がんを予防する日」に登録し、その日を中心に「LOVE49プロジェクト」として全国の細胞検査士とともに街頭啓発活動を実施。議員・行政担当者向け勉強会や、啓発活動企業・団体を一堂に集めた会議を開催。英国の「コール・リコールシステム」を日本に導入すべく、検討委員会を松戸で始動。 プロジェクトを推進する「子宮頸がんを考える市民の会」の副理事長の高山須実子さんが、細胞検査士のネットワークを活かし精力的に取り組んでいる。 |
子宮頸がん啓発に積極的に取り組んでいるメディアに対し「メディアパートナー賞」を設けた。
団体名 | 主な活動と評価ポイント |
TOKYO FM Hellosmile実行委員会 |
■“見つめる先には幸せな未来” ~若い女性へのユニークなアプローチ ハローキティ(サンリオ)のキャラクターを使用し、子宮頸がんに対して積極的に興味を持っていないターゲットにエンタテインメントや放送を通じて興味を喚起。番組、アーティストのライブやイベント、啓発冊子配布、女子大学園祭でのトークショー、ユニクロとタイアップしてTシャツを作成、特別塗装機「Hellosmile JET」就航など、ユニークな取り組みでアプローチ。日本対がん協会や国連人口基金に寄付もおこなう。 |