「子宮頸がん予防ワクチン」の接種に、学年によっては自治体の公費助成が受けられます。正しい知識を持って、お子さんを子宮頸がんから守ってください。
子宮頸がんとは
子宮頸がんは、子宮の入り口付近、子宮頸部(しきゅうけいぶ)にできるがんです。原因は、ほぼ100%がHPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルスであることがわかっています。HPVはとても一般的なウイルスで、成人女性の8割が1度は感染したことがあるといわれています。このウイルスに感染してもほとんどは自然に治りますが、長期の感染が続くと、まれに子宮頸がんを発症することがあります。がんが進行すると、子宮摘出が必要になるため子どもが産めなくなったり、場合によっては命を失うこともあります。
なぜ子どもにワクチン接種を勧めるの?
子宮頸がん予防ワクチンは、HPVの中でも特に子宮頸がんの原因になりやすい2種類のウイルスの感染を防ぐことで、子宮頸がんの発症の70%以上を予防するものです。
HPVに感染する前の接種がもっとも有効ですので、思春期女子が世界中で標準的な対象になっていますが大人の女性にも十分効果があります。
いま子宮頸がんは20~30代に急増しています。将来お子さんが子宮頸がんで苦しまないよう、ワクチンで予防しましょう。
ワクチンはどこに注射するの?子宮頸がんの検査も受けるの?
子宮頸がん予防ワクチンは、肩に近い腕または大腿部(太もも)の筋肉に注射します。ワクチン接種のために、事前に検査や検診の必要はありません。
ワクチンを打っても、大人になったら必ず、定期的な子宮頸がんの検診を受けてください。ワクチンは100%子宮頸がんを予防するものではありません。子宮頸がん検診を受けることは大人の女性のあたりまえの健康管理であることを、ワクチン接種の機会にお子さんにぜひ教えてください。
ワクチン接種のスケジュールは?
十分な抗体をつくるため3回の接種が必要で、1回目から3回目の接種まで6ヶ月以上の期間を設けます。現時点では20年以上の効果があると推定されています。毎年接種の必要はありません。
どこで受けられるの?
産婦人科だけではなく、小児科、内科などのクリニックや病院で接種を受けることができます。自治体やかかりつけの病院などに問い合わせて、お子さんに合った医療機関を探してください。費用は3回で約5万円かかりますが、学年によっては自治体の公費負担があります。お住まいの自治体にお問い合わせください。
副作用が心配
一般的なワクチンの副作用と同じで、「注射した部位が痛い」「腫れる」「発疹が出る」「全身の発熱」「食欲不振」「倦怠感」「失神」が一時的に見られます。まれに重い副反応(アナフィラキシー様症状など)を起こすこともありますが、どの副作用も、他のワクチンにもある一般的なものです。また筋肉注射のため、皮下注射より痛く感じることもありますが、これも子宮頸がん予防ワクチンに限ったことではありません。
ワクチンを接種する際は、体調を整え、また副作用を予防または早期に発見するため、接種後は30分ほど安静にして様子を見ます。
ワクチンでがんになることはないの?
子宮頸がん予防ワクチンは、ウイルスそのものではなく、ウイルスとよく似た物質をハイテク技術で合成して用いています。感染力はないため、ワクチンが原因でHPV感染や子宮頸がんになることはありません。
ワクチンを接種すれば、将来子宮頸がん検診は必要ない?
子宮頸がんの原因となるHPVには15種類あり、ワクチンですべての子宮頸がんを予防することはできません。大人になったら検診を定期的に行い、子宮頸がんを確実に予防することを、お子さんに伝えてください。